今回も知ったかぶりである。
リツキサンは画期的な薬だと思う。
治療に使われるだけでなく、維持療法の効果もはっきりしてきたようで、
濾胞性リンパ腫患者の生活とか、人生観(病気観かな)も変えているような気がする。
でも、血液がんのジャンルには、リツキサンと同程度か、それ以上に画期的な薬がある。
慢性骨髄性白血病の治療薬、グリベック(一般名イマチニブ)だ。
グリベック以前の慢性骨髄性白血病の5年生存率は40~70%だったが、
2001年にグリベックが登場してからは5年生存率は90%近くになった。
今は、慢性骨髄性白血病の患者の95%が5年以上生存しているという。
グリベックも完璧な薬というわけではなく、長期使用すると効果がなくなる耐性の問題はあるが、
タシグナ(一般名ニロチニブ)やスプリセル(一般名ダサチニブ)といった、
2番手3番手の薬がすでに発売されて、その問題をリカバーしている。
慢性骨髄性白血病は、死を意識しながら暮らすような病気から、
「薬を飲むのはめんどくさいけど、まあ、いいか」的な病気に変わりつつあるんじゃないか。
(患者の方は、そんなに甘いもんじゃないと怒るかもしれないが…)
それほどグリベックの効き方はすごいと思う。
なんでそんなに効くのかと思って、ちょっと調べてみた。
グリベックも、リツキサンと同じように「分子標的薬」と呼ばれる薬だ。
ウィキペディア「分子標的薬」より
上のリンクを見ると、モノクローナル抗体であるリツキサンと違い、
グリベックは「チロシンキナーゼ阻害剤」というジャンルの分子標的薬である。
一般名の呼び方も、モノクローナル抗体は語尾が「~マブ」。 例:リツキシマブ
チロシンキナーゼ阻害剤の場合は、語尾が「~ニブ」 だ。 例:イマチニブ
じゃあ、この「チロシンキナーゼ阻害剤」というのは何だということになる。
慢性骨髄性白血病を例にとると、大雑把にこんな感じで効くらしい。
■何らかの原因で、遺伝子にトラブルが発生し、「フィラデルフィア染色体」という
異常な染色体が生まれる。
↓
■フィラデルフィア染色体から、BCR-ABLチロシンキナーゼという物質が生まれる。
↓
■BCR-ABLチロシンキナーゼは、ATP(アデノシン三リン酸)と結びついて活性化し、
細胞に異常な信号を発信する。
↓
■異常な信号によって、細胞ががん化する。
このがん化メカニズムに対して、チロシンキナーゼ阻害剤であるグリベックは、
BCR-ABLチロシンキナーゼがATPと結びつくのをじゃまして、がん化を防ぐ。
←グリベックががん化を防ぐの図
(パックマンではない)
こういう作用をする薬は、悪性リンパ腫ではまだ実用化されていないが、
濾胞性リンパ腫だって、発症メカニズムは慢性骨髄性白血病と大きく違わないはずだ。
グリベックのように画期的に効く、チロシンキナーゼ阻害剤(~ニブ)が悪性リンパ腫にも
あらわれないだろうか?
と思っていたら、あらわれそうなのだ。
この薬はチロシンキナーゼではなく、オーロラA キナーゼという物質を阻害するらしいが、
大雑把に言うと、(~ニブ)の仲間ってことだと思う。
(ちなみにオーロラキナーゼは、ショウジョウバエから見つかった分子で、
見た目がオーロラみたいだからオーロラキナーゼと名づけられた)
濾胞性リンパ腫の治療に(~ニブ)の薬が使われるようになるには、
まだ4~5年かかりそうな気がする。
でも、なんとか生き延びれば、また新しい治療の光が射すと思ってみよう。
そうすれば気も楽になるというものだ。
もう、すでに十分気楽という状態ではあるんですが…。
2 件のコメント:
新薬に5年ですか。
それまで生きていられるかな?
今回の再発治療から3カ月、検査の結果は異状なしでした。形成変異にならぬよう祈る毎日です。
お互い頑張りましょう。
みんなで、マブ逹!(-_-;)ですね(^O^)/
来週からは、いよいよマブ注です!
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