1年の時から必修の英語を落とし続けて、今年単位がとれないと卒業も危うい。
なにをやってるんだ、こいつは!
叱ってやろうと思った。
「とにかく授業をちゃんと聞け、そこからだ」と言ってやるつもりだったんだが、
その時、自分が大学生だったころの英語の授業風景が頭によみがえったのだ。
35年前の大学には、学生があふれていた。
必修の英語授業は、狭い教室に40人くらいの学生が詰めこまれておこなわれた。
これじゃあ、中学や高校の授業と変わらないじゃないかと思った。
英語の先生は、文学部で英文学をやっていた講師だったと思う。
言葉づかいがとても丁寧で、品の良さそうな中年女性だった。
授業は英文だけの「小説みたいな」読本を使い、
それを先生と学生が読んで訳していくというオーソドックスなスタイルだった。
わたしは何回か授業をさぼっていたため、その「小説みたいな」もののあらすじもわからず、
とりあえず席に座っていた。
先生は流暢な発音で英文を読み上げ、わたしにむかって言った。
「ブルーさん、この部分をお訳しになってみますか?」
「お訳しになりません」
わかるわけねーだろ、そんなもん…。
で、クラスの皆さんには大受け。わかるわけねーだろ、そんなもん…。
わたしは授業を落として追試。
英語がどうしようもないのは、親ゆずりってことなんだ、結局。
ということで、まだ子供を叱っていない。
英語の授業の話には後日談がある。
「訳本あるんだから、買っとけ」とクラスの友達に言われ、
(まだ追試になるとは思っていない)わたしは生協にいって、
「小説みたいな」ものの訳本を読んだ。
それは、カーソン・マッカラーズというアメリカの女性作家の
「悲しき酒場の唄」という小説だった。
すごくいい小説だった。
わたしはマッカラーズの他の小説(和訳版)を、次々に買って読んだ。
「心は孤独な狩人」とか「黄金の眼に映るもの」とか「結婚式のメンバー」とか―
好きな小説家は誰かと聞かれれば、カーソン・マッカラーズというくらいに。
でもね、自分のしょうもない英語力でそれらを読むより、
英語が大好きな翻訳者が訳してくれた文章を読んだほうが、よっぽどいいわ。
カーソン・マッカラーズ
(1917年2月19日- 1967年9月29日)
1 件のコメント:
こんばんは
母が悪性リンパ腫で困っており、アドバイスいただけませんでしょうか。
年齢は70歳女性なのですが抗がん剤治療を続けておりますが経過が順調ではありません。
治療の流れは以下です。
R-CHOP(4クール)→RーDEVIC(1クール)→喉の放射線治療→EPOCH(3クール目)
しかしながら、がん細胞の戻りが速いようで腫瘍マーカのLDHがすぐに戻ってきます。
抗がん剤治療も限界に来ているようですのでその他の有効な治療方法がありましたらお教えください。
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