2012年3月5日月曜日

「免疫力アップ」って何なんだ?

さて、わたしの体の中に今もいるであろう濾胞性リンパ腫の野郎を何とかするために、
奥さんもネットなどを駆使していろいろ調べてくれている。
主に奥さんが調べているのは「免疫療法」といわれるやつで、
NK細胞や樹状細胞を体外で増やして、それをもう一度注射で体内に戻し、
免疫力でがん細胞を叩くという考え方のものらしい。
「そんな療法がほんとに効くなら、とっくにノーベル賞とかとってるよ」
と冷めた感想をいうと、「せっかく調べてやったのに!」と奥さんはむくれる。
まあ、ほのぼのとした夫婦の会話ではある。

そういった治療法紹介サイト以外にも、「免疫力アップでがんと戦う!」みたいな
サイトがやたらたくさんある。
笑ってNK細胞活性化とか、体温上げて免疫力アップとか、
キノコ食えとかコンブ食えとか、ビタミンCを注射しろとか―
がん予防というのならまだ許せるが、「がんを治す」までかたっているサイトもある。
いい加減なこといってんじゃねえ!と思うわけである。(これは個人の感想です)

そもそも、がん細胞は免疫システムを逃れるすべを身につけたからこそ
がん細胞になり得たんじゃないのか?
と思って調べてみると、やはりがん細胞の免疫回避メカニズムは、2重3重に張り巡らされた
精巧なもので、「免疫力アップ」なんて単純なことでどうにかなるなんてとても思えない。
だいたい「アップ」ってどういうことなのか?
具体的に説明しているサイトがなくてさっぱりわからない。

そのがん細胞の免疫回避メカニズムだが、わたしがわかるレベルの資料はほとんどなく、
無理やり読むと頭が爆発しそうになった。
なんとか理解できたのは、免疫療法の研究者が書いた↓これ。

「がんの免疫療法を阻んでいる要因の一つとして、がん細胞が免疫監視を回避
する機構(免疫回避機構)を持っている点を挙げることができます。がん細胞
は、がん抗原やそれをリンパ球に対して提示する HLA(組織適合抗原)を消失さ
せたり、免疫抑制物質を産生したり、免疫を抑制するリンパ球を誘導すること
が知られています。将来これらをうまくコントロールできれば、がんに対する
治療効果を一段と高められる可能性があります。しかし、がん細胞による様々
な免疫回避機構を考えると、免疫療法だけでがん細胞を排除しようとするより
もいくつかの異なる方法を組み合わせた治療(集学的治療)の一つとして、免
疫療法を確立していく方がよいかもしれません。」

免疫療法でさえも、がん細胞の免疫回避メカニズムに苦労しているのに、
笑いながらキノコやコンブを食ったくらいで、いったい何になるのかと?
という結論になるはずだったんだが、
さらに調べていくうちに、話しは意外な方向に…

この項つづきますよ。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

こんにちは。マツモトといいます。
少し前にこちらを拝見させて頂いています。
私と同じ病気なのと(びまん性の方ですが)、とってもユニークな闘病記?なので釘付けです。治療後(R-CHOP)8クールで寛解。寛解後丸二年経ちました。

ところで、免疫力あげるって!?疑問に思っていたところこんなサイトを見つけました。「がんの補完代替医療を科学する」http://ohno777.blog82.fc2.com/
真面目なサイト。患者さん向けと医療社向けのガイドブックのPDFがあります。世の中の怪しげな(中には医者がやっている)治療法が患者や家族を食い物にしていると思います。親戚や家族も良かれと思って薦めるのでやっかいな限り。幸いにもそれらに手を出さずに標準科学治療で治療して正解でした。リツキサン単独の維持療法はやりました。またおじゃまさせていただきますね。

レル(ReLL) さんのコメント...

免疫力アップですか・・・。
って、淘汰できなかったか異常な細胞になってしまっている訳でして。
生存可能な期間が過ぎ、細胞のコピーが正常にできなくなっているからがん細胞が多く発生しているんですよね。
社会人になりたての頃、先輩から勧められた著書があります。なるほどなと痛感したわけで。
http://www.athome-academy.jp/archive/biology/0000000104_all.html
「ゾウの時間・ネズミの時間」という本です。
ですので、生活状態が良好な人間社会では、多くの方がおまけの寿命を頂いている訳ですから、我が人生に悔いなしと考え「生きて行きたい」と思っています。

tokoma さんのコメント...

ちくうが壊滅する前に、濾胞人クラス会を開催したいもんです。・・・濾胞人・・・途胞にくれる(-_-;)・・・っつーか、なんだかみなさん。あと100年は生きてるような気がします(^O^)・・・実は濾胞人は放射能に強かった・・・なぁーんてね!

レル(ReLL) さんのコメント...

ま、病人相手の悪徳商人などは相手にするな~って感じ!!
海藻は笑ってしまいますよね。ワカメのみそ汁ならいくらでも食べているし。
来月に治療後半年のCTを撮ります。主治医は簡単に撮ると言いますが、支払いは私・・・一万両が飛んでいきます。PETなんていわれると三万両ですよ。5週間に一回の採血・検診・高血圧の薬では一万両が財布の中から消え失せ、小遣いもままならぬ、辛い生活です。
病気はならぬのが一番です。

http://www.athome-academy.jp/archive/biology/0000000104_all.html

「ゾウの時間・ネズミの時間」この書籍は良いですよ。この説には賛否両論いろいろ言われていますが、私自身としては信じているところです。
ガンはなるべきしてなる。遺伝子をコピーしながら生きる生物では、長じるとコピー不良が発生し、抑えきれなくなると不良細胞が増えすぎガンになるのが当たり前ということです。余分に与えられた寿命を楽しみましょう。